「怨念」と「執念」のぶつかり合い
2023/01/26
「ゴールデンカムイ」を読んで
やっとゴールデンカムイを読み終えました。
面白いから読もうと、ブログに書いたのは去年の2月。
2巻目を読み始めたとき、たくさんの人が死んでいくストーリーとアイヌの方々の清澄さとか人に対する暖かさ・優しさにギャップが大きすぎて、作者は何を意図しているのか何を書きたいのかわかりませんでした。
なんとか気を取り直して読み進めている間も、「入間くん」や「SPY×FAMIlY」、「九条の大罪」を読んだりしている内に、どんどん日にちが経っていき、全31巻読み終えたのは年末でした。
たくさんの人が登場しますが、中でも年取った土方歳三が興味深いです。
たぶん、作者は土方歳三が大好きだったのかも。彼が大正時代まで生き残ったら?と考えたのかなあ。
史実に基づいてストーリーを作っていて、とてもダイナミックな作りです。
大正時代に国の将来について考える人が沢山いたんだということも理解しました。
でも、ストーリーの底に流れているのは「念」だと思います。
「怨念」と「執念」のぶつかり合いです。
そのあまりの凄まじさに驚愕です。
「怨念」は恨みに思う気持ちですが、「執念」は生きようとする執念だと思います。
私たち現代人はこの「生きる執念」の意味では気魄に欠けるかもしれません。
脱獄王白石は実在の人物ですが、こんなにひょうきんじゃなかったと思いますよ。
伝記のようなものを読んだ記憶がありますが、完全な脱獄成功は4回、未遂も含めると11回とか書いてありました。
何度も脱獄を図るので罪が重くなっただけで、最後は許されて刑務所で配膳などの仕事をしたり、監獄内の設備のアドバイスをしたりしていたみたいです。
昨日、こちらでも珍しく雪が降りました。
一面の銀世界、冷たい風、静謐な空気……。
ゴールデンカムイの1巻目。アイヌの方々の自然との向き合い方を描いたシーンで、空気感がなんとも鮮烈で、冷たくピーンと張った緊張感のある雰囲気を、なんとなく実感したような気がします。
こんないい加減な生っちょろいものではないのでしょうが、冷たい雪の中で暖かい心を通わせていたんだなと感じることができました。